ユーリックの斧 | |
Lv1 | 命を刈り取る死神への供物を捧げ、自らの延命を祈った王が、 若き美丈夫の首を落とす神器として造らせたこの斧は、 実に数百人の生贄の血を啜っている。正に死神の振るう武器といってもよいだろう。 |
Lv2 | 毎月の祭事において王は、二人の生贄を選出した。 一人に斧を振るわせもう一人の首を刎ねるのだ。そして翌月には、 生き残った方の生贄を、新たに選んだ生贄に殺させる。 この祭事は王の存命中絶えることなく続けられ、 王は百五十年を生きたと伝えられている。 |
Lv3 | 最後の月。生け贄に選ばれた二人の男は互いに親友同士だった。 泣きながら親友を殺めた男は、王に向かって言い放つ。 わが命、自ら死神に捧げ、友と黄泉路を逝こう…。 男の首を落とした斧は祭壇に突き刺さり、何者も引き抜くことは叶わなかった。 生きすぎた王は壮絶な最期を遂げた。 |
Lv4 | その斧はユーリックの手に渡った。斧はまた、死神への供物を、 生贄を欲しているのだろうか。繰り返される流血の連鎖は、 断ち切ることは叶わぬのだろうか。 それを知るのは死神のみであろう。 |
封斧・破天の鼓動 | |
Lv1 | かの地に武具の名匠あり。 神に弄ばれる世界を憂い神の力に打ち勝つ武具を生み出すことを決意す。 |
Lv2 | 神に抗うは、封印の力。 封印の力、即ち女神の力。 名匠は女神の力を武具に封入す。 |
Lv3 | かの女神は、御使いにより内に卵を秘める女の力を以て 災厄を封じる術を授かったという伝説の女神。 |
Lv4 | 宿るは「時」、色なき結晶は、 時間、空間、次元を統べるおおいなる時間を宿す。 |
ザンポの斧 | |
Lv1 | 小さな農村の外れの小屋に、一匹のネズミと暮らす男がいた。 男は醜い容姿の持ち主で、その不気味さから、村中で疎まれていたが、 心根のやさしい男だった。時として村の子供から石を投げられることが あっても、常に笑顔を絶やすことはなかった。 |
Lv2 | どうにかして不気味な男を追い出そうとした村人達は、 男の飼っているネズミが穀物を荒らしたと因縁をつけ、 男のネズミを捕まえ、首を切り落として殺してしまった。 |
Lv3 | ただ一人の友人を亡くした男は正気を失った。 人とも思えぬ雄叫びをあげながら、手にした斧で、 老人から子供まで村人全員の首を刎ねてまわり、首の山を築き上げた。 そして最期に首を一つ足すように、そこで自らの首を刎ねて絶命した。 |
Lv4 | 首の山から発見された凶器の斧は、 村人の血を吸った金属の部分が真っ赤に染まっていた。 後にこの斧の持ち主となる封印騎士団のザンポは、この斧で獲物を 切り裂く瞬間の感触に、自分の失った味覚の幻影を見ていたのだろうか。 |
折れた鉄塊 | |
Lv1 | かつて世界で最も大きな剣と称され見る者をその迫力で 圧倒していた雄姿は見る影もなく、剣というにはあまりにも惨めな塊に 変わり果てていた。 |
Lv2 | 剣が健在でいた時代。 以前の持ち主は、この剣をとても人の力では扱えない代物までに鍛え上げ、 それでもまだ何かに取り憑かれるように、刀身に使える素材を 探し集めた。躯から鎧を剥ぎ取り、武器を奪い骨をも抜き出しては、 打ち合わせ剣の一部としていた。 |
Lv3 | 次第に剣は斑に色を変え、剣先に行くほど赤黒く伸びていく。 その相反する色は、まるで隠り世と現世の境にも見えた。 ある時、子供をさらい生きたまま製錬し剣に打ち込んだが、 決して交わることはなく、赤黒い鉄はすべて砕け散ってしまった。 |
Lv4 | 剣は再び比類なき巨体を誇示させるために新たなる刀身と、 その身を鍛えられる者を探し続けているらしい。 |
赤の旋風 | |
Lv1 | ふと声が聞こえたような気がし目が覚めた。 耳元で悪魔のような囁き声が聞こえた。まだ足りない。まだ足りないんだ。 間違いなく、その斧から囁くように声が聞こえた。 |
Lv2 | その日からの魔術師は何かに憑依されたかのような顔つきに変貌していった。 その面影はかつて王国を恐怖に震え上がらせたあの義賊を思わせた。 |
Lv3 | 斧の中で時を、ひたすら時を待っていた義賊は、力を解放していった。 さすがに魔術師も必死に抑えようとした。 しかしついに義賊は魔術師の精神を乗っ取ってしまった。 |
Lv4 | 外見は高名な魔術師であるが故に王宮の貴族達は、 魔術師の行いを止めることをしなかった。 王国は無残な終焉を迎えた。 しかし、魔術師は生きている…。 |
処刑台の記憶 | |
Lv1 | "斧"は考えていた……。 『私は…幾人の首を刎ねただろう』 悪人、反逆者、革命家、政治家……中には全く罪のない人間もいた…。 もう何も覚えていない。ただ一人、あの男…いや、男と言うには早い、 あの少年を除いて…。 |
Lv2 | その少年は、断頭台に頭を置いても全く動じる気配がなかった。 どんな屈強な男でも卑劣な悪人でも死を目前にすると、 わずかな希望や行き場のない絶望が精神を支配する。 それは刎ねる瞬間、わが刀身から直接伝わってくるのだ。 |
Lv3 | しかし!彼は他の誰とも違った! 彼の精神はただ希望に溢れていた。それは狂信的に心酔する者の持つ 偽りの希望ではなく、彼自身が望み、悟り、己が意志でこの場にいるということ! 彼の、その清らかな精神は物言わぬこの私が叫びたくなる程であった。 |
Lv4 | 彼の刑は執行された……。 処刑を見に来た多くの群衆の中に、隠れながら涙する若者達がいた。 その涙の意味は、私にはわからぬ。ただ、彼の希望と、そして未来は、 若者の涙と共に語り継がれる……。それだけは私にも確実にわかった。 |
不浄なる斧 | |
Lv1 | 汚れた魂の魔術師により、火トカゲが封じ込められた斧。 持つ者の心に他者への憎悪を囁きかけ、狂気へと駆り立てる。 |
Lv2 | この斧を手に入れたこそ泥は、その力で瞬く間に近隣の峠を制し、 大きな山賊団の首領となった。 |
Lv3 | この斧を手に入れた小姓は、比類なき武勇で手柄を得て、 大きな騎士団の千人隊長となった。 |
Lv4 | ただし、山賊団の首領も、騎士団の千人隊長も、最後は敵味方構わずに 殺戮を行い、自らの部下に殺されたという。 |
悲しみの棘 | |
Lv1 | 「…クイタイ」 ホブゴブリンの彼は、いつもどおり指導者の手伝いをすることにした。 大抵は雑用をすることで食欲は満たされていたが、 この日は何をすることもなく食べ物をあてがわれた。明晩人間の村落を 襲うということだったが、さておき食欲は満たされた。 |
Lv2 | 果たして彼らは攻め込んだ。彼らが襲った村落の人間は必死で抵抗し、 戦いは激化した。熾烈な殺し合いの最中、彼は井戸に落ちてしまった。 何とか上れそうであったが、彼は井戸の底で禍々しい形状の鎌を見つけた。 それは歪んだ付与魔術師の失敗作であった。 |
Lv3 | この鎌は相手に勝ちたいという欲求が増幅される、というように 作られた筈だった。だが、実際にはさまざまな欲求が抑えられなくなる 呪われた鎌であり、使われなくなっていた。鎌を手にした彼は、 井戸から出ると、膨れ上がった食欲と殺戮の衝動のままに、人間を屠っていった。 |
Lv4 | 鎌の呪いは凄まじく、人間が目の前からいなくなると、 彼は他のゴブリン達に襲いかかっていった。 しかし、同族を殺しつくすも満たされず、ついに彼は自身に刃を向けるに至った。 残された鎌は、死体が地に還る頃美しいエルフに拾われたという。 |