エリスの槍
Lv1 高潔な人格と勇壮な武勇でその名を轟かせ、
双刀の金獅子と呼ばれた男がいた。その無双の武人が若き頃、
技を磨き合った女騎士の愛槍が、この槍である。女騎士が戦に出る時、
必ずこの槍を手にしたという。
それは、双刀の金獅子が彼女に贈った物だったからであろうか。
Lv2 ある時、女騎士は決断を迫られる。
眼前に迫りくる敵軍、背後に寒村。
撤退命令を無視して彼女は最後まで留まり、数多の敵兵を迎え撃った。
しかし…女騎士は討ち死に、亡骸はきざみ晒され、寒村は焼かれ、
軍紀違反者の汚名を着せられた。
Lv3 双刀の金獅子は敵陣へと切り込み、彼女の亡骸と愛槍を奪い返した。
永遠に失った愛しき人の最期の決断と意志を、後の世に正しく継ぐべく男は誓う。
彼女のように、真に人々を守る騎士となることを。そして、
真に人々を守る騎士を育てることを。
Lv4 今、槍はエリスの手にある。
二人の騎士の想いが込められた槍。
彼女は何を思い、誰の為にそれを振るうのだろうか。
託された願いを、注がれた意志を、エリスが受け継ぐ日が来ると、
亡き騎士達は優しく見守っているに違いない。

封槍・破天の円舞
Lv1 かの地に武具の名匠あり。
神に弄ばれる世界を憂い神の力に打ち勝つ武具を生み出すことを決意す。
Lv2 神に抗うは、封印の力。
封印の力、即ち女神の力。
名匠は女神の力を武具に封入す。
Lv3 かの女神は、高潔なる騎士、決意を秘めし女神。
優しき女神。
Lv4 宿るは「光」、金色の力
闇を照らす聖なる力。

鷹羽根の槍
Lv1 雨の日に目が覚めた。見上げると、自分がさっきまでいた巣と兄弟達が見える。
どうも落っこちたらしい。狭い巣だったのでこうなるのは目に見えていたが…。
体が濡れて冷えてきた。生まれて二ヶ月短い人生。
「こんなもんか…」諦めかけたその時、親鷹が帰ってきた。彼らはちらりと
こっちを見たがすぐに兄弟達の方に向き、兄弟達に餌を与えだす。
Lv2 かわいく鳴いたが見向きもしない。「いよいよだ」と思ったその時目の前に
閃光その後轟音、木が燃える。木に落雷したらしい。もちろんその上には
兄弟達がいる巣がある。「逃げなければ」必死でバタバタと羽を動かす。
何とかその場を離れ振り返ると「巣」自体が炎に包まれていた。
巣の兄弟達の全身は赤く染まり雨の暗闇を照らす。
Lv3 人生、次の瞬間どうなるかわからない、後ろから気配を感じる。振り返ると
「ヒト」の姿が、雷の音に驚きやってきた。「ヒト」は俺を抱き上げた。
それが「ヒト」との運命的な出会い。一年も経つと俺は立派な鷹になり、
いつも「ヒト」の腕の上にいた。「ヒト」は独り者で年は五十を越えていた。
あくまでも想像だが、「ヒト」は大酒飲みで貧乏だった。
Lv4 「ヒト」とは二年を共にした。別れはあっさりしたもので俺は「酒代」と
交換に売られると同時に俺の一生はあっけなく終わる。売られた俺は
あっという間に潰され肉塊となり胃袋へ。羽は「槍」の飾りに。
俺の羽をあしらっただけの平凡な槍はそこそこ高値で売れたそうだ
「鷹羽根の槍」と名づけられて。くだらない俺の人生で作った槍。
実に滑稽だ。

ハンチの槍
Lv1 西の城下町の彫金屋の主人は、貴族の甲冑の装飾を手がけるほどの
腕の持ち主だったが、仕事場へは誰も出入りさせず、夜になると妻にも内緒で
外出する変わり者だった。
不審思った妻が後をつけていったが、村はずれの墓地まで来ると、
見失ってしまった。
Lv2 ある晩、妻が墓地に先回りして隠れていると、彫金屋がやってきて、
埋葬直後の墓を掘り返し始めた。
あまりのことに妻は気が動転し、その場から逃げ出したが、彫金屋が
帰ってくる頃を見計らって、仕事場を確かめることにした。
Lv3 妻が目にしたのは、豪華な甲冑や装飾品で着飾った無数のミイラ達と、
無邪気にはしゃぐ夫だった。
彫金屋は、墓をあばいては遺体を仕事場に持ち帰り、自ら仕立てた細工の
装飾品を身につけさせて楽しんでいたのだった。
Lv4 妻は嘆き絶望し、彫金屋に飛びかかり、一体のミイラが手にした槍に、
自分の体ごと倒れこんだ。
後日、甲冑で着飾った大量のミイラに囲まれるように、一本の槍で
貫かれた男女の遺体が発見された。この見事な細工の槍が、
後にハンチの手に渡った。

王位簒奪者の槍
Lv1 長き戦いの末、ついに男は王の心臓に槍を突き刺した。絶命する王。
歓声と共に革命軍が、一気に城へなだれ込む。これで…この国は悪政から
解き放たれ平和になることだろう。男の顔に笑みがこぼれた。
だが…それもすぐに消えた…。
Lv2 最後の戦い…どうも腑に落ちない。
なぜ王は抵抗せず死んだのだ。いや、それどころか自ら命を
捧げた様子にも見えた…。あれが…国民に悪政を強いてた王の姿だろうか。
悩む彼の元に仲間から王の間に来るように連絡を受ける。
Lv3 仲間と共に王の間に向かう男。
そこには…何者かに拘束されていた姫の姿があった…。そして…姫の口から
驚くべき真実を知る…。姫は、長い間、隣国の者に人質に捕らえられていたのだ。
王は脅され続けていた。
姫の目から涙がこぼれる…。
Lv4 男はその場で姫の命を奪った…。
確かに王は、娘のために、仕方なく悪政を強いていたのかもしれない。
だが今、必要なのは真実ではない。苦しみ虐げられた国民が立ち上がり
憎き王を討つという"事実"のみ。
真実は闇の中……男は王となった。

血族の紋章
Lv1 ある国に大変仲の良い二人の王子がいた。
兄は剛の武術を学び、弟は柔の武術を学んでいた。
二人は互いの技を高めあうべく、稽古を重ねた。
Lv2 二人の王子は、その師に質問した。剛の武術と柔の武術、
どちらがより優れているのか?と。師は、二人に一本の槍を差し出した。
Lv3 良い槍は、堅く鋭い槍先と、柳のようにしなる柄を備えておる。
剛と柔ふたつを競うのではなく、合わせて統べるのだ、と老いた師は語った。
Lv4 その後、師は老衰により他界した。師が残した槍を、師の亡骸と共に墓へ埋葬し、
王子達は生涯互いを支えあって生きると亡き老師に誓った。
その後、国は大いに栄えたという。

背理の鎌
Lv1 皆に慕われる若者がいた。
川や谷を飛び回る若者は風を操ることができたらしい。
そんな明るく元気な若者にもひとつ気になっていることがあった。
Lv2 数年経ち父親が他界した。
若者はとても悲しんだ。
だが父が亡くなる前に若者にある一言を残した。
それは若者が昔から気にしていた、自分からは口にしなかった母親のことだったのだ。
Lv3 「この地図の場所へ行きなさい」
そう言い残した父親から託された鎌と地図を手に取り、何かに誘われるよう
地図が示す場所を目指した。どれぐらい時間が経ったであろう。
森を抜け、海を越え、山を翔けてきた若者はすでに歩く気力もない。
ふとひとつの村が若者の目に入った。
Lv4 長と呼ばれる者が迎えてくれた。この鎌は村の物らしい、
そして逢わせたい人がいると言った。綺麗な女性が入ってきて、
若者は一目見て自分の母親だと感じた。
若者はその後母親と幸せに暮らしながら、風の精霊と人間の仲を
取り持ち共存が始まった。以後その鎌が使われることはなかったという。

霞切り
Lv1 ある小さな村のほとりに小さな池があった。
この池は愛し合う少年と少女が離れる際に流した涙からできたという。
村にはその残された少年が住んでおり、もう一度少女に会いたいと
強く願いつづけている。
Lv2 ある時その池に宿る神が少年のもとに現れ、賭けを持ちかけた。
遥か北西にそびえる山にしか咲かない露草を持ち帰ることができれば少女を連れ戻すと。
すぐに旅立った少年は幾たびの困難の末、北西の霞がかる山の中にある村をみつける。
その村には離れた少女がいた。
Lv3 少年と少女は涙を流し再会を喜んだ。
小さな川が流れる小さな村で、離れていた時を取り戻すかのように
二人は一日中語りつづけ、結婚することを誓う。
少年は願いがかなったことにやすらかな笑みを浮かべる。
しかしそれは深い霞の中で見た幻影であり、少年はまもなく息絶えた。
Lv4 またここにひとつかなわぬ恋がうまれたことに神は涙を流した。
この槍はその涙をこの武器に込め、他世での二人の幸せを願ったものだという。

皇帝の槍
Lv1 皇帝たる資格を問う、神性を持つ槍。
覇者たることを望む戦士達の間を渡り歩くといわれている。
今は昔、天下に覇を唱えんとする一人の武者が、槍を手にした。
Lv2 槍は武者に問う。
「覇者たるものが有する、武の役割とは何か?」
武者は答えることができなかった。
武者は槍の力を持って一国を興したが、国は十年と数えぬうちに亡びた。
Lv3 国が亡びた際、一人の将が槍を持って落ち延びた。
将がいくら逃げようとも追手がそれを赦さなかった。
やがて将が追手に囲まれ、死を覚悟した時、槍は将に同じ問いをかける。
将は静かに答えた。
「武の役割は七つ。ひとつは…」
Lv4 将が答え終わらぬうちに、槍は将の体を雷で纏い、追手を打ち払った。
…その後、将は一代にして大帝国を築き、国は千年の後にもその栄華を誇ったという。

戒めの塔
Lv1 この槍の元の所持者は、物腰が柔らかで、礼儀正しく、
清潔な性格であったが、己のある性格を恥じ、人を避け、
弟達と森で密やかに暮らしていた。
Lv2 しかし、ある時、世界を恐怖に陥れた帝国軍に家を襲撃され、
弟達を皆殺しにされたその者は、深い悲しみのうちに自害を果たそうとしたが、
それもできず、その時近くにいた妖精と契約をしてしまう。
Lv3 契約者となり、その代償に己の視覚を奪われたその者は、
世界を恐怖から救う為、立ち上がり帝国軍との戦いに身を投じていった。
Lv4 救世主とともに、世界を恐怖から救ったその者だったが、
幼き同性を狂気的に愛おしく感じてしまう愚かな性癖は直らず、
今も己を恥じ、ひっそりと暮らしている。

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